はじめに:多くの人がつまずく「英単語暗記」の落とし穴
英単語を覚えても、しばらくするとすぐに忘れてしまう――そんな経験はありませんか。意味はわかってもスペリングが書けない、覚えたはずの単語が文章中で出てきても理解できない……これは多くの英語学習者がぶつかる共通の壁です。
本記事では、このような「英単語暗記の落とし穴」を避け、効率よく覚えて長期的に記憶に残す方法を紹介します。学習初心者はもちろん、中級・上級者にも役立つ具体的な手法やツール、学習スケジュール例もあわせて解説します。
英単語学習の誤解と本質~和訳は地図、意味は実際の風景~
英単語を覚えると聞くと、「日本語訳を丸暗記すればいい」と考える人は少なくありません。確かに試験直前の短期対策としては有効ですが、この方法だけではすぐに忘れてしまったり、文章中で意味が取れなかったりします。
また、多くの学習者は「単語の意味=日本語訳」だと考えがちです。しかし、和訳はあくまで日本語に置き換えた結果にすぎず、その単語本来のニュアンスや使い方をすべて反映しているわけではありません。
例えば、英語の run を辞書で引くと「走る」と出てきますが、実際には run a company(会社を経営する)、run late(遅れている)、run water(水を流す)など、多くの場面で異なるニュアンスを持ちます。これらを単に「走る」と覚えてしまうと、文脈で正しい意味を取れなくなってしまいます。
また、犬(dog)のように一見すると日本語の単語と英語の単語が一致していそうな組み合わせがあります。しかし、日本語話者がイメージする「犬」と英語話者がイメージする「dog」はやはり違います。それが、食肉目イヌ科イヌ属に分類される哺乳類の一種を指しているとしても、多い浮かべる犬(dog)のイメージは違いますし、「犬」(dog)という言葉から連想するイメージ(忠実・愚昧・卑劣・憐憫・堅実)も様々です。
「意味」とは、その単語が持つコアイメージ(中心的な概念)や、文脈ごとの使われ方、感情的なニュアンスまで含んだものです。和訳は便利な出発点ですが、それだけに頼ると誤解や誤用につながります。本当に英単語を使いこなすには、「和訳」よりも「意味」を理解し、文脈の中でどう変化するかを学ぶことが大切です。
英単語を本当に使いこなすためには、単に意味を覚えるだけでなく、スペリングや発音といった語形、名詞・動詞・形容詞といった品詞、文法的な使い方、さらにはよく一緒に使われる単語(コロケーション)まで総合的に理解する必要があります。こうした多面的な知識が揃って初めて、その単語は「自分のもの」になり、会話やライティングで自在に使えるようになるのです。
すべきこと1:自分の語彙力を測る
英単語を効率的に覚えるためには、まず「今の自分の語彙力」を知ることが重要です。理由はシンプルで、現状を把握しなければ、どこから学習を始めればよいのか、どの単語を優先的に覚えるべきかがわからないからです。やみくもに単語帳を最初から覚え始めても、自分がすでに知っている単語ばかりに時間を使ってしまうことになり、学習効率が下がります。
実践例としては、まず語彙力診断ツールを使って現在のレベルを数値化します。おすすめは Vocabulary Size Testです。10分ほどで結果が出て、自分が知っている単語数の推定値がわかります。例えば「5000語レベル」と診断された場合、日常会話は問題なくても、TOEFLやIELTSのような学術的英語には不足していると判断できます。
英語の語彙力診断ツール
- Weblio 語彙力診断テスト: 25問の選択式テストで、短時間で手軽に語彙力をチェックできます。TOEICや英検など、分野別のテストも選べます。
- VocabularySize.com:このテストは、1000語から8000語までの語彙レベルを1000語ごとに8段階に分けており、各レベルで30問出題されます。問題は日本語で提示された単語に対応する英単語を、同じ品詞の4つの選択肢の中から選ぶ形式です。
- Oxford online english.com English Vocabulary Level Test:40問の選択式テストで、CEFRのA1-C1のうちどのレベルにあるかをチェックできます。
- Preply 語彙力診断テスト: 知っている単語にチェックを入れるテストで、約10分で現在の語彙力を把握できます。
すべきこと2:学習する単語の優先順位を明確にする
語彙力診断の結果をもとに学習を進める際は、学習する単語の優先順位を明確にすることが大切です。まず最初に取り組むべきは、高頻度語です。これは日常会話や文章の中で繰り返し登場する単語で、全体の理解度を大きく底上げしてくれます。高頻度語を押さえることで、文章全体の意味をつかみやすくなり、学習効果が最も高くなります。
次のステップは、Academic Word List(AWL)に含まれる語彙です。これは学術論文や試験問題など、アカデミックな文章で頻繁に使われる単語群で、TOEFLやIELTS、大学受験などで必須となります。高頻度語で土台を固めたうえでAWLを学ぶと、学術的な英文にも対応できるようになります。
最後に取り組むのが、専門分野や目的に応じた語彙です。これは受験科目や業務内容、興味のある分野に直結する単語群で、用途に応じてピンポイントに学習します。このように「高頻度語 → AWL → 専門語彙」という順で進めることで、限られた時間でも効率よく語彙力を伸ばすことができます。
高頻度語の単語リスト単語帳
- GSL (General Service List):1953年に発表された英語の書き言葉と話し言葉で頻繁に使用される単語をまとめたリスト。約2,000語で構成されており、英語学習の初期段階で習得すべき単語の範囲を示す基準として広く利用されています。
- NGSL(New General Service List):GSLの最新版。一般的な英文に含まれる単語の92%を学べる2800語の英単語リストです。
Academic Word List とそれに関連する単語帳
- Academic Word List:AWLは、特にGeneral Service List (GSL)という最も一般的な英単語2000語をすでに知っている学習者が、アカデミックな環境で必要となる語彙を効率的に学ぶために作られました。AWLには、GSLには含まれない570の単語ファミリーが収録されており、このリストの単語を習得することで、大学の教科書や論文の約10%をカバーできると言われています。
専門分野や目的に特化した英単語帳
専門分野や目的に特化した英単語帳は、一般的な高頻度語やアカデミック語彙に比べると出版数が少ないのが現状です。しかし、用途によっては非常に効果的に学習できるものもあります。例えば、医療英語に特化した単語帳、ビジネスメールでよく使われる語彙集、IT分野の専門用語をまとめた教材などがあります。これらは必要な場面に直結するため、学んだその日から実務や学習に活かせるのが大きな利点です。
すべきこと3:コアイメージで覚える
コアイメージとは
アイメージとは、ある単語が持つ中心的な意味やイメージのことを指します。英語の多くの単語は、辞書で調べると複数の意味が並んでいますが、それらはまったく無関係に存在しているわけではありません。実際には、一つの核となる概念から派生しており、この核こそがコアイメージです。例えば、run という単語は「走る」「経営する」「流れる」など様々な意味を持ちますが、その根底には「連続的に動く」という共通のイメージがあります。
ここで注意したいのは、和訳とコアイメージの違いです。和訳はあくまで特定の文脈における「結果としての意味」を日本語に置き換えたものであり、状況が変われば和訳も変わります。一方、コアイメージは単語の根本的な概念を示すため、文脈が変わっても変化しません。そのため、コアイメージを理解しておけば、未知の用法や比喩的な使い方にも柔軟に対応できるようになります。
なぜコアイメージで覚える必要があるのか
英単語を覚える際にコアイメージを意識する最大の利点は、多義語を一括で理解できることです。辞書で意味を一つひとつ覚えるのではなく、根底にある共通のイメージを捉えることで、異なる意味同士が頭の中でつながり、整理された状態で記憶されます。その結果、文脈に応じた意味の推測も可能になります。知らない使い方に出会っても、「この単語はこういうイメージだから、この文脈ではこういう意味だろう」と自然に推測できるようになります。
また、コアイメージを通じて単語を覚えると、単なる和訳暗記よりも記憶の定着が早く、忘れにくいという特徴があります。単語の意味を映像や感覚的なイメージとして記憶するため、脳内でより強固な結びつきが生まれるからです。さらに、英語のまま意味をイメージできるようになることで、日本語を介さずに理解でき、英会話の場面でも素早く適切な単語を使えるようになります。
コアイメージで英単語を覚える方法
コアイメージで単語を覚えるためには、いくつかの具体的なステップを踏むことが効果的です。まず、辞書を引いて複数の例文を集め、その中に共通する意味やイメージを探します。単語ごとに意味がバラバラに見えても、根底にある共通点を意識することで、理解が一気に深まります。
次に、その共通イメージを視覚的に捉えるために、イメージ図や比喩を活用します。例えば、「get」は「到達する」という図を描くことで、「得る」「理解する」「着く」といった意味がつながって見えるようになります。また、自分が日常で経験した場面や知っている表現と結びつけることで、記憶がさらに強化されます。
さらに、類義語や反意語と比較してニュアンスの違いを整理すると、その単語ならではの感覚がつかめます。そして最後に、日常生活で使える例文を自作し、実際に声に出して使うことで、コアイメージを単なる知識から実践的な語彙力へと変えていくことができます。
コアイメージで英単語を覚える手段は2つあります。1つ目は画像を用いること、2つ目はイメージを膨らませる感覚を養うことです。前者には画像検索が、後者には実際のコアイメージの考え方が載っている参考書が有効です。
画像検索とおすすめの単語帳
- Oxford Learner’s Dictionaries:発音音声・例文・語源・類義語まで網羅。
- Cambridge Dictionary:英英+英和+イラスト付き解説あり。
- Google画像検索:単語を入れるだけで視覚的に意味が把握できる。
すべきこと4:文脈とセットで単語を覚える
英単語は、単独で暗記するよりも文脈とセットで覚えるほうが圧倒的に効果的です。単語だけを日本語訳と一緒に覚えても、いざ会話や文章で使おうとすると適切な形で出てこないことが多いものです。そのため、単語が他の語と自然に組み合わさるパターン(コロケーション)を意識して学習することが重要です。例えば「make a decision(決定する)」「take a risk(危険を冒す)」といった組み合わせを覚えておけば、意味だけでなく使い方も同時に身につきます。
この学習を助けてくれるのが Just the Wordです。調べたい単語を入力するだけで、よく使われる語の組み合わせや実例が一覧表示され、使用頻度の高いフレーズを効率よく習得できます。
さらに、映画や読書も文脈学習に最適な方法です。映画では日常会話の生きた表現を耳から学べ、同じ単語が場面によってどう使い分けられるのかを体感できます。洋書やグレイディッドリーダー(簡易読本)では、単語帳では得られないリアルな文脈とともに語彙を習得できます。特に、読み終えた後や視聴後に新しく出会った単語をまとめて復習すれば、記憶の定着が大きく向上します。
グレイディッドリーダーの種類
- Macmillan Readers:Macmillan社が出版するシリーズで、レベルはStarterからUpper Intermediateまで6段階。現代小説の改作やオリジナル作品が多く、挿絵が豊富で視覚的にも理解しやすいのが特徴です。章ごとに理解度を確認できるクイズやアクティビティが付いているため、独学でも進めやすい構成になっています。
- Oxford Bookworms Library:Oxford University Pressによるシリーズで、レベルはStarterからStage 6までの7段階。語彙コントロールが非常に厳密で、読みやすさとストーリー性のバランスが優れています。古典文学のリライトやノンフィクションも充実しており、教材として学校や英会話教室で広く採用されています。
- Penguin Readers:Penguin Random Houseによるシリーズで、レベルはEasystartsからLevel 7までの8段階。世界的に有名な文学作品や映画原作のリライトが多く、エンタメ性が高いのが特徴です。新しい版ではeBookやオーディオ、学習用アクティビティも付属し、デジタル学習との相性が良いシリーズです。
すべきこと5:語源とセットで単語を覚える
まず、はじめに語源を使って単語を覚えることの重要性は100年以上前から指摘されています。森鷗外の『ヰタ・セクスアリス』の一節を引用してみましょう。
寄宿舎では、その日の講義のうちにあった術語だけを、希臘拉甸
の語原を調べて、赤インキでペエジの縁に注して置く。教場の外での為事は殆どそれ切である。人が術語が覚えにくくて困るというと、僕は可笑しくてたまらない。何故語原を調べずに、器械的に覚えようとするのだと云いたくなる。
英単語を効率よく覚えるうえで、語源の知識は非常に強力な武器になります。単語をバラバラの音や文字としてではなく、意味を持った部品として理解できるようになるからです。
例えば、接頭辞「sub-」は「下・下位」を表し、接尾辞「-tion」は名詞化を示します。このルールを知っていれば、subtraction(引き算)やsubmarine(潜水艦)といった単語も、初めて見ても意味を推測できます。
語源をインターネットで調べる
語源を調べる際におすすめなのが Etymonlineです。英単語の起源や派生の流れを詳しく解説しており、関連語彙も一覧で確認できます。「substantial」を引けば、語源の substance(実体)とのつながりや、派生による意味の広がりまで理解できます。
語源カードを作ってみる
学習の際は「語源カード」を作るのも効果的です。表面に単語と例文を書き、裏面に語源の部品(接頭辞・語幹・接尾辞)とその意味を記載します。こうして覚えると、単語が単なる暗記項目から、意味の体系の中で位置づけられる知識へと変わり、未知語にも対応できる語彙力が身につきます。

語源カードの例
すべきこと6:学習スタイルの使い分ける ~意図的学習と付随的学習~
英単語を覚える際には、意図的学習と付随的学習の二つのスタイルをバランスよく使い分けることが重要です。
意図的学習と付随的学習のメリットとデメリット
意図的学習とは、単語帳や暗記アプリを使って計画的に語彙を覚える方法で、短期間で多くの単語を習得できるのが最大の強みです。試験対策や期限のある学習に向いていますが、単語が文脈から切り離されやすく、実際の会話や読解で使いこなすには追加の練習が必要になります。
一方、付随的学習は読書や映画鑑賞、会話などの中で偶然出会った単語を習得する方法です。文脈に沿って単語が記憶されるため、意味や使い方を自然に理解できます。ただし、出会う単語数は限られ、習得に時間がかかるのが弱点です。
学習スタイルの使い分けるべき理由
この二つの学習スタイルを分けて活用すべき理由は、記憶の定着と学習効率を最大化できるからです。例えば、暗記アプリ(Anki、mikan、スタディサプリ英単語など)で基礎語彙を集中的に覚え、読書や会話でその単語に再び出会うことで、知識が実際の運用力へと変わります。逆に、付随的学習で新しく知った単語を意図的学習で復習すれば、出会う頻度が増え、記憶の定着が一層強化されます。
| 項目 | 意図的学習 | 付随的学習 |
|---|---|---|
| 定義 | 単語帳や暗記アプリなどを使い、計画的に語彙を覚える学習法 | 読書・映画・会話など、文脈の中で偶然出会った単語を覚える学習法 |
| 主な手段 | 単語帳、暗記アプリ(Anki、mikan、スタディサプリ英単語)、単語カード | 洋書やGraded Readers、映画・ドラマ、ニュース記事、日常会話 |
| メリット | 短期間で多くの単語を覚えられる/学習進度を管理しやすい | 文脈と一緒に覚えられるため使い方が自然に身につく/記憶が長期的に定着しやすい |
| デメリット | 文脈から切り離されやすく、運用力がつきにくい/退屈に感じやすい | 出会う単語が限られる/習得まで時間がかかる |
| 向いている目的 | 試験対策・短期集中での語彙増強 | 長期的な英語運用力の向上・自然な表現習得 |
| 活用のコツ | 覚えた単語を会話や作文で積極的に使う | 出会った単語を単語帳に記録し、意図的学習で復習する |
こうして役割を分けて組み合わせることで、「覚える」と「使う」の両方のスキルを効率よく伸ばすことができます。
すべきこと7:定着のための学習スケジュールを作成する
英単語学習では、行き当たりばったりに覚えるのではなく、計画的なスケジュールを立てることが記憶の定着に直結します。人間の記憶は時間とともに薄れていくため、意図的に復習のタイミングを組み込まないと、多くの単語が短期間で忘れられてしまいます。スケジュールを立てれば、覚えた単語に再び出会う機会を確保でき、短期記憶を長期記憶へと変えることが可能になります。
集中学習と分散学習の違い
集中学習とは、短期間に大量の単語をまとめて覚える方法です。試験直前など即効性が求められる場面に向いていますが、長期記憶には残りにくいのが欠点です。一方、分散学習は学習と復習を一定間隔で繰り返す方法で、忘却曲線を利用して記憶の薄れを防ぐ効果があります。時間はかかりますが、定着率が高く、長期間使える語彙力を養うのに向いています。
復習間隔の目安表
復習間隔は、翌日→3日後→1週間後→2週間後→1か月後のように伸ばしていくのが基本です。短期の試験対策なら、当日複数回→翌日→前日というパターンが有効です。
| 学習目的 | 復習タイミングの目安 | 定着目標 |
|---|---|---|
| 長期記憶(資格試験・実用) | 1日後 → 3日後 → 1週間後 → 2週間後 → 1か月後 | 半年以上記憶を維持 |
| 短期記憶(テスト直前) | 当日中に数回 → 翌日 → 試験前日 | 数日間の記憶保持 |
学習スケジュール例(TOEICや英検など長期目標の場合)
- 月曜:新出単語20語を暗記
- 火曜:前日の復習+新出20語
- 木曜:月曜の単語を2回目の復習
- 日曜:その週の全単語を総復習
- 翌週:前週の単語を週末にまとめて再復習
このようにスケジュール化すれば、復習漏れを防ぎつつ、無理のないペースで語彙を積み上げられます。分散学習の原則を押さえた計画は、忙しい社会人や学生にとっても長期的な成果をもたらします。
すべきこと8:単語テストを活用する
テスト効果を利用しよう
英単語を長く覚えておくためには、ただ「読む」「眺める」を繰り返すだけでは不十分です。記憶から答えを引き出す練習そのものが定着を強化します。これを「テスト効果」と呼び、思い出そうとする過程で記憶の回路が太くなり、忘れにくくなります。再読やマーカーだけでは長期保持につながりにくいのに対し、低負荷でも頻度の高い小テストは忘却曲線に逆らう最も効率的な方法です。
目的とテスト形式を一致させよう
テスト効果を最大化するには、目的とテスト形式を一致させることが大切です。意味を覚えたいのにスペリングテストばかりしても効果は薄く、意味の定着には意味想起、スペリングの定着にはスペリング想起といったように、使う場面と同じ形式でテストすることが重要です。
代表的なテスト形式
代表的な形式には、意味認識(多肢選択)、意味想起(英語→日本語や英語で定義)、産出想起(日本語→英語)、コロケーション補完(make a decision など)、クローズ(文の穴埋め)、スペリング入力、発音・音声弁別などがあります。それぞれ狙いが異なり、学習初期は易しい認識課題から始め、すぐに想起課題へ移行します。正答率は6〜8割程度が理想で、少し難しい方が記憶は強化されます。
- 意味認識(多肢選択):新規語の導入直後に適します。意味の当てはめで初期の理解を確認できますが、これだけでは運用力は伸びにくいので、短期間で想起課題に移行します。
- 意味想起(英語→日本語、定義説明):カード表に英語、裏に意味。日本語訳に限らず、英語で短い定義を言えるかを確認すると英語のままの意味表象が育ちます。
- 産出想起(日本語→英語):実際の使用に最も近い形式です。負荷は高いものの、運用力が伸びます。最初は類義語のヒントや頭文字のプロンプトを併用すると移行しやすくなります。
- コロケーション選択・補完:語の組み合わせを問う形式です。make a decision、take a risk のような結びつきを選ぶ、あるいは空欄補充で入れると、自然な使い方が身につきます。
- クローズ(文の穴埋め):文脈の中で意味・品詞・語法をまとめて確認できます。例文は自分のレベルに合わせ、既知語を多めにして未知語の働きが際立つようにします。
- スペリング入力:キーボードで正確に綴る課題です。書き取りに比べ効率が良く、間違いのフィードバックが明確です。音声との連携(発音を聞いて綴る)にすると音綴り対応が強化されます。
- 発音・音声弁別:最小対立の聞き分けや発音録音の自己チェックです。意味想起と交互に行うと、音声・意味・綴りの三位一体が作られます。
この記事のまとめ:今日からできる一歩
英単語を効率よく覚え、長期的に定着させるには、「和訳の丸暗記」という誤解を捨て、単語のコアイメージや文脈、語源、コロケーションなど多面的に理解することが欠かせません。その第一歩として語彙力診断を行い、学習の優先順位を「高頻度語 → Academic Word List → 専門語彙」の順に設定します。さらに、コアイメージを活用すれば多義語をまとめて理解でき、文脈と結びつけることで自然な使い方が身につきます。語源学習は未知語の推測力を高め、意図的学習と付随的学習を組み合わせることで「覚える」と「使う」を両立できます。
学習スケジュールは、集中学習よりも分散学習を基本に、復習間隔を戦略的に設定することが効果的です。最後に、テスト効果を利用した復習は記憶の回路を強化し、実際の会話や試験でも即戦力となる語彙力を育てます。こうした方法を組み合わせれば、単語帳を開く時間が、確実に「使える英語」への投資に変わります。


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